雑談(マンションと戸建どちらを買いますか)

過去に大手分譲マンション管理会社に勤めていたことがあります。そこで感じたことは、マンションは、自分が所有していても毎月お金を支払わなければならず半賃貸物件であること、また、究極的に償却資産(ほぼ価値がなくなる)と感じたことでした。

マイホームとして購入を検討するとき、まず、購入額上限を考え、分譲マンションか戸建(新築の場合は建売)どちらかという選択にあたります。マンションは、築年にもよりますが、戸建に比べ価格もお手軽で購入する方が多いと思います。

ただし、分譲マンションでは、①管理費(清掃やエレベーター管理、管理人さんの人件費、管理会社への報酬などの日々の管理費用)と②修繕積立金(再塗装や設備交換などの長期修繕計画に基づく大がかりな共用部の改修工事費用の積立金)の2つの費用が所有する限り永遠にかかります(住まなくなってもかかります。親が住んでいたマンションを相続した場合は、今問題の戸建の「空き家問題」のように放置していると、まとめて多額の請求がきます。)。この管理費、修繕積立金はマンションの共用部(建物のエントランス、廊下、給水設備、エレベーター、屋根・壁など全員で所有するもの)に関するもので、自分の室内(専用部)の設備は含まれませんので内部の部分は戸建と同じです(内部リフォームは同じなのでノーカウント)。

マンションのグレードなどにより異なりますが、国土交通省が5年ごとに行っている「平成25年分譲マンション総合調査」で、全国平均額は①管理費は15,970円(単棟型)、②修繕積立金は11,463円(工事出費時に一時金として徴収される大金がある場合と思われる。一時金のない計画では、通常1万5千円~2万円程度。これは新築マンション販売時ではローン支払いとの関係性で販売戦略として1万円以下とし、15年後以降に一時金数百万円徴収としているケースが多く、販売後の総会で増額改定が一般的。なお、相場より安い販売額のマンションでは、数年内にこの数百万円の一時金徴収予定があったりする物件がありますので、マンションの長期修繕計画を確認することが重要です。) よって、管理費+修繕積立金合計を、月額約3万円と考えると次のとおりとなります。

ライフサイクルで考え、30歳夫婦が購入し80歳まで50年間住むとすると、おおよそ月3万円×12ヶ月×50年=1,800万円 が戸建に比べて余分にかかることになります。なお、戸建ても一部外部改修はありますが、多くはかかりません。また、マンション内駐車場を利用する場合はさらに加算されます(月1万円とすると、さらに600万円)。

そのうえ、戸建の場合は、建物が古くなった場合、建物を取り壊して更地処分でも資金回収ができますが、マンションは区分所有のため簡単に取り壊し又は建て替えができず、立地にもよりますが築年が古いと低額で処分することになります。バブル期に建てられた伊豆やスキー場の築古リゾートマンションは、修繕金が多額徴収されその負担に耐えられず、ただ同然の価格で売られています。

買う時の価格水準は、マンションの方がお手頃で、防犯面などの安全性もありますが、長期的に見るとやや高くても戸建を選ぶほうがお得ではと、私は戸建推奨派です。

しかし、購入時の資金余裕やローンの融資限度から、マンションしか買えないこともありますので、現実は厳しいです。(2016年)